コーヒー好きのあなたなら、カエルのマークを見たことがありませんか?

そのカエルは【レインフォレストアライアンス認証】を受けた証です。
といっても「レインフォレストアライアンスって何?」ってなりますよね。



最近ではコーヒーだけでなく、紅茶やチョコ、バナナまで幅広くあります
この記事では、そのカエルマークの意味や意外な広がり、そして知っておきたい「やばい」ポイントで、雑誌感覚でやさしく解説します。
レインフォレストアライアンスとは?コーヒー好きが知っておきたい基礎知識


レインフォレストアライアンスは、環境と人の両方を守ることを目的とした国際的な認証制度です。
名前を聞くとちょっと難しそうですが、カフェやスーパーで見かける緑色のカエルマークがそのサイン。



意外と身近に潜んでいますよ。
■この章のトピックス
①どんな団体なの?
レインフォレストアライアンスは、1987年にアメリカ・ニューヨークで誕生しました。立ち上げたのは、熱帯雨林を守ろうと立ち上がった若者たちです。



実は、熱帯雨林の破壊原因の約80%が農業だそうです。
そこで彼らは、熱帯雨林地域で栽培されるコーヒーやカカオ、バナナなどの生産を支えながら、自然も守る仕組みづくりに取り組み始めました。
そして働く人の生活も守られなければなりません。長時間労働や低賃金、農薬による健康被害などの課題を改善するのも重要な役割です。
環境保護と現地経済の両立を目指す——それがレインフォレストアライアンスの出発点です。
豆知識
国際的な調査では、レインフォレスト認証を受けた農園では、労働者の健康診断の実施率や、子どもの就学率が上がったという報告もあります。
※レインフォレスト公式ページ:https://www.rainforest-alliance.org/annual_report/2024/
②なぜカエル?ロゴマークに込められた意味
パッケージにある緑色のカエルのロゴがレインフォレストアライアンスの認証を受けた証です。
カエルは環境の変化に敏感な生き物で、水や空気が汚れると真っ先に影響を受けます。そのため「自然の健康状態を知らせる存在」として知られています。



カエルマークは「この商品は環境に配慮して作られていますよ」というサイン。
カフェやスーパーでこのマークを見つけたら、ちょっとだけ嬉しくなりますよね。
③認証を受けるための条件
認証を取るには、農薬の使い方、森林保護、労働者の待遇など、100を超える基準をクリアしなければなりません。
- 日陰樹を植えて、コーヒーにやさしい日陰と豊かな土壌をつくる
- 農薬を減らし、土地や水を守る
- 土壌を肥やし、廃棄物を減らす
- 森林を守り、気候変動への対策を取り入れる
- 労働者を公平に扱い、安全で健康的な環境を確保する
- 子どもの教育や家族の生活を支える仕組みをつくる
- コミュニティ全体と協力し、持続的な発展をめざす
こうした条件を満たした農園だけが、あのカエルマークをつけられます。つまり「ただの認証」ではなく、「人と自然が一緒に元気になるための約束ごと」なんですね。



一度取ったら終わりではなく、定期的なチェックがあります!
④世界での広がり方
活動は70か国以上に広がり、コーヒーだけでなく紅茶、バナナ、カカオなどの農産物や、木材・紙製品にも認証が付いています。



スーパーやカフェで買えるマークを見かけることも増えてきました!
スターバックスやネスレなど、世界的企業も採用しており、日本国内でも、UCC・JAL・ローソンなどをはじめ採用されるケースが増えています。
参考資料
JAL:機内で本当においしいコーヒーを
ローソン:地球環境保全の取り組み
余談:UTZ認証とは?統合された背景
UTZはオランダ発の認証制度で、もともとはコーヒーやカカオなどの農作物を「持続可能に栽培している」ことを証明する仕組みでした。



ポイントは、生産者にとって現実的な方法で環境や労働環境を改善すること。
たとえば、農薬や肥料を必要以上に使わないことや、労働者の安全や生活を守ることなどが基準に含まれていました。
こうした点は、レインフォレストアライアンスの理念ととても近かったんです。
豆知識
UTZはマヤ文明の言葉で「良い」を意味します。 つまりUTZ認証=「良い農業をしている」というサイン。
2018年、UTZはレインフォレストアライアンスと統合されました。これにより、二つの認証が一本化され、より大きな影響力を持つ国際的な基準が誕生したのです。



カエルマークの認証には、このUTZの仕組みや理念も含まれています。
コーヒー以外にもあるレインフォレストアライアンス認証


レインフォレストアライアンスのカエルマークは、コーヒーだけのものではありません。
実は、あなたのキッチンやスーパーの棚にも、ひっそりと存在しているかもしれません。
■コーヒー以外のレインフォレストアライアンス認証
①紅茶
実は、レインフォレストアライアンス認証の紅茶はかなり身近です。
スーパーでよく見かける「リプトン」のイエローラベルや、海外ブランドのアールグレイなど、多くの商品がこの認証を受けています。



リプトンは2015年以降100%使用!
箱やパッケージをよく見ると、カエルマークがひっそりといます。
紅茶農園では、コーヒー農園と同じく農薬管理や労働者の安全管理が行われ、インドやスリランカなど、紅茶大国でもカエルマークが広がっています。
参考資料
リプトン:レインフォレスト・アライアンス認証茶葉について


②バナナやパイナップル
南国フルーツの生産現場でも、レインフォレストアライアンスは活躍しています。



特にバナナは世界で最も輸出量が多い果物のひとつです!
栽培過程では、大量の農薬や水資源が使われるため、環境への影響が大きいと言われています。
スーパーの青果コーナーで、カエルマークのシールが貼られたバナナを見つけたら、それは認証バナナのサイン。



バナナもパイナップルもレアアイテム!見つけたら即買い
パイナップルも同様に、土壌や水質の保全、労働環境の改善が基準に含まれています。
豆知識
果物で世界的に有名な企業なDole(ドール)では、独自でエシカルシの取り組みをしています。
Dole:バナナエシカルバリューチェーンプログラム
③カカオ(チョコレート)
私たちが大好きなチョコレート。その甘さの裏には、実は深刻な課題が潜んでいます。
カカオ農園では昔から児童労働や低賃金といった問題が指摘されてきました。



児童労働の問題に関しては、国際団体や企業独自のサポート体制も整えられ、少しずつ改善が進んでいます。
ただし、コーヒーやバナナと違い、カカオは「収穫 → 発酵や乾燥などの加工 → 取引」というプロセスを経るため、労働環境の透明化が難しいのが現実です。



カカオ収穫の現場では依然として“見えにくい課題”が残されています。
一粒のチョコを食べるとき、その裏にある生産者の暮らしや環境問題を少しだけ思い出してみると、カエルマークの意味がより身近に感じられるかもしれませんね。
ただ、カカオには色々な団体があるためレインフォレスト認証のチョコレートを見つけるのは大変です。
手に入れやすいレインフォレスト認証のチョコ
コープ:レインフォレストアライアンス認証チョコレート
参考資料:ゴルゴ13 『苦いチョコレート』
④紙製品や木材
意外かもしれませんが、紙や木材にもレインフォレストアライアンス認証があります。
森林管理や伐採方法に関する基準を守っている証拠で、違法伐採や過剰伐採を防ぐ狙いがあります。
コピー用紙、ノート、紙ナプキン、木製家具など日用品にも広がっています。



「FSC認証」と並び、環境配慮型商品の代表的なマーク。
このように、カエルマークは私たちの暮らしのあらゆるところに潜んでいます。
今度買い物するとき、ちょっとカエルマークを探してみたくなりますが、私はまだ見たことがありません・・・。
レインフォレストアライアンスとFSC認証の違い
項目 | レインフォレストアライアンス | FSC認証 |
---|---|---|
対象 | コーヒー、紅茶、カカオ、バナナ、 紙・木材など幅広い農産物と森林資源 | 森林・木材・紙製品など森林資源に特化 |
重視すること | 環境保護+働く人の権利・地域支援 | 森林管理の健全性と持続可能性 |
ロゴ | ![]() ![]() | ![]() ![]() |



FSCは「森林の専門家」、レインフォレストアライアンスは「人と環境の総合サポーター」というイメージ。
レインフォレストアライアンスって実はやばい?驚きの話3つ


カエルマークは見た目はかわいいですが、その裏側にはちょっと驚く事実が隠れています。
ここでは、コーヒー好きが「へぇ〜」となる3つのポイントをご紹介。
■この章のトピックス
①マークがつくだけじゃない基準の多さ
「カエルマークついてるから環境にいいんでしょ?」…そう思う人は多いですが、実はその裏にある基準はかなりく決められています。
農薬の使用量や種類、森林保護のルール、働く人の賃金や安全管理など多岐に及びます。



コーヒー農園だけで100項目以上。
しかも年ごとの監査で合格しないと認証を失います。
例えば、農薬もただ使うだけじゃなくて、「どんな種類の農薬を、いつ、どの畑で散布したか」までしっかり記録することで後から追跡できるようになっています。



基準は世界共通ですが、地域の事情に合わせた追加ルールがある場合も。
この厳しさは、生産者にとって大変ですが、それだけ信頼性の高いマークとも言えます。
②農園のリアルな日常
レインフォレストアライアンス認証の農園と聞くと、理想的なエコ農園をイメージするかもしれません。でも実際は、もっと現実的な努力の積み重ねなんです。



コーヒー農園では「日陰をつくり、風から守る樹」を残すことが必須条件に。
認証農園では、コーヒー豆を育てるだけでなく、周りの動植物の生息地を保ち、生態系を守ることも大切な役割です。



一本の木や小さな林が、土を守り、鳥や昆虫の住処にもなっています。
また、働く人の環境も変わりました。農薬を使うときは防護具を着用し、労働時間や休憩も管理されるようになっています。



さらに、認証基準には「児童労働の禁止」も含まれています。
そのため、認証を目指す過程で子どもの労働をやめさせ、学校に通わせる取り組みを始めた農園もあります。
③世界中のカフェやスーパーで広がる理由
今やカエルマークは、欧米を中心にカフェやスーパーで広がっています。
欧米では「少し高くても環境や生産者に優しい商品を選ぶのがかっこいい」という価値観が浸透し、エシカルな消費がライフスタイルの一部になっているからです。



欧米人の環境意識は、日本よりずっと生活に根づいています
日本ではまだ、商品を選ぶときに“環境に優しいかどうか”を気にする人は少ないのが現状です。
それでも大手カフェやスーパーでの採用は進んでいて、知らず知らずのうちにレインフォレスト認証の商品を手に取っているかもしれません。
レインフォレストアライアンス認証コーヒーの優しいところ3つ


せっかくコーヒーを飲むなら、ちょっとでも地球や人に優しかったら嬉しいですよね。
レインフォレストアライアンス認証のコーヒーには、「優しいところ」がたくさんあります。
①環境にも優しい
認証コーヒーは、環境を守るためのルールがきちんと決まっています。
森林を守ること、水質を汚さないこと、野生動物の住処を壊さないことなどが含まれます。
多様な植物を混ぜる「アグロフォレストリー(森林を伐採せずに農地を確保)」も推奨。



コーヒー畑が小さな森のようになります。
例えば、コスタリカやグアテマラでは、認証農園が森の一部のようにデザインされ、渡り鳥や蝶の重要な休憩場所になっています。
こうした環境は土壌や水を守るだけでなく、病害虫の自然な抑制にもつながります。
②働く人も守る
コーヒーを作る人たちの生活や健康も守られています。



適正な賃金、労働時間の管理、安全な作業環境などが基準に含まれます。
農薬を使うときはマスクや手袋の着用が必須。これまで素手で農薬をまいていた地域では、大きな改善です。
中南米のある農園では、労働者の子どものための保育施設が設けられました。これにより、親が安心して働ける環境が整ったそうです。
③ちょっといいことした気分になれる
カエルマークのコーヒーを選ぶと、「環境にも人にもいいことをしたな」という気分になります。
それは自己満足かもしれませんが、そういう小さな選択が積み重なって大きな変化につながります。
例えば、休日の朝に淹れたカエルマーク付きのコーヒーを飲みながら、「これって環境にいいんだよね」と家族や友達に話す…。
そんな小さな会話が、誰かの意識を変えるきっかけになるかもしれません。
コーヒー好きが気になる「やばい」ポイント4つ


もちろん、レインフォレストアライアンス認証コーヒーにも「知っておいたほうがいい」ポイントがあります。
ここでは、あえてちょっと裏側をのぞいてみましょう。
①実際の効果はどうなの?
環境や労働環境改善を目指しているのは確かですが、その効果がどれくらい出ているかは地域や農園によって差があります。
例えば、農薬の使用量が半減した農園もあれば、まだ基準ギリギリのところも存在します。
「認証=完璧な農園」ではなく、「改善に取り組んでいる農園」と考えるのが現実的です。
効果は一朝一夕では出ません。長期的な監査や教育を通じて、徐々に成果が現れていく仕組みです。
②小さな農家には大変?
認証を取るための基準や監査にはコストがかかります。
例えば、労働安全のための防護具購入、農薬管理の記録システム導入など、小さな農家にとっては負担になることもあります。
基準を満たすための設備投資や記録作業は、家族経営の農家にとってはハードルが高いことも。
そのため、一部の小規模農家は認証を断念するケースもあり、「本当に守るべき立場の人が認証から外れる」という逆説的な課題も存在します。
③ブランド戦略としての一面
企業にとって、カエルマークはブランド価値を高めるツールにもなります。
「環境に優しいブランド」というイメージは、マーケティング戦略の一部として非常に強力です。
もちろんPRは悪いことではありませんが、消費者としては「マークの意味」を理解して選ぶのが大切です。
例えば、同じブランドでも認証付きの商品とそうでない商品が混在する場合があります。
その違いを知って選ぶことが、賢い消費者への第一歩です。
④コーヒーが旨いとは限らない
重要なポイントですが、認証はあくまで「作り方や環境への配慮」に関するもの。



味や香りの良し悪しは、品種・焙煎・鮮度など別の要素で決まります。
カエルマークは「環境や人権に優しい」の証であって、「味保証マーク」ではありません。
とはいえ、認証農園は栽培管理がしっかりしている傾向があるため、結果的に品質の良い豆になる場合も多いです。
「おいしさ+環境配慮」を両立しているコーヒーに出会えたら、それはちょっとした当たりですね。
よくある質問
まとめ|レインフォレストアライアンスは知っておくと楽しいカエルマーク
レインフォレストアライアンスのカエルマークは、見た目のかわいさ以上に、環境や人々の暮らしを守るという大きな意味を持っています。
コーヒーはもちろん、紅茶やチョコ、バナナ、紙製品など、私たちの生活の中に意外と多く潜んでいる存在です。
ただし、このマークがついているからといって「完璧な商品」というわけではありません。



あくまで「改善と持続可能性に取り組んでいる証」として理解するのが大切。
カフェで注文する一杯や、スーパーで手に取る一品が、遠くの農園の自然や人々を支えることになる——そう思うと、ちょっと誇らしい気持ちになりますよね。
次にコーヒーを飲むとき、カップの中に小さなカエルがいるつもりで、少しだけ世界のことを考えてみませんか?
関連リンク:レインフォレストアライアンス公式サイト

